さてリタさんの「マイク ジャケ」作品。
この作品を聴くのは、3年前に「Falling In Love With Love」でつまみ食いして以来ですが、やはり愛聴盤ですので、聴き始めれば何度も聴いてしまいます。
そしてA面とB面との違いとの意識で聴いてみて、いかに自分がジャケのクレジットを読んでいないかが分かります。指揮者が違うのです。
A面はTom Dissevelt氏、この方はオランダの作曲家として活動した方で、リタさんの姉妹と結婚したようです。そして彼は後に、電子音楽とジャズの融合の先駆者として知られるようになったとこか。そんな彼の指揮するオケでのリタさんは、彼女の声の愛くるしさを上手く捉えています。
一方のB面では、Ian Corduwener氏がオケを指揮しています。この方に関する情報は得られませんでしたが、オランダの音楽界で堅実な仕事をされたのではと思います。それはB面でのリタさんの声の伸びやかさを活かすアレンジから、感じられます。
今回のつまみ食いでも、新たな発見がありました。
【エピソード、1948年、カル・マッセイとの出会い】
カル・マッセイは若くしてプロ活動を行なっていた。二十歳になったマッセイは父のいるフィラデルフィアに戻り、横丁を歩いていると、近くのガレージからものすごいバンドの演奏が聴こえてきた。また非常に個性的でよく通るアルト・サックスの音も聴こえたので、ガレージの中に入った。演奏していたヒース兄弟バンドにトランペットを見せて、一緒に演奏させてくれと頼んだ。このマッセイの申し入れをヒース兄弟は快く受け入れ、一緒に演奏したのであった。休憩の時にマッセイはジミー・ヒースにもう一人のアルトは誰かとたずね、ジミーは「ジョン・コルトレーンだよ」と答えた。
これがマッセイとコルトレーンの親交の始まりであり、これはコルトレーンの葬儀でマッセイが「A Love Supreme」の詩を朗読するまで続いたのだった。(資料01を参考)
「イス ジャケ」作品の20枚目は、Diana Krall の The Look Of Love、2001年1月22日の録音です。
イス+脚 ジャケに2度目の登場となる、ダイアナ・クラールさんです。先のイス+脚 ジャケ作品から6年後ですので、ジャケ撮影に臨むにあたって自信がある表情です。また手と脚と、見事な構図となっています。
今までに15作品を世に出しているクラールさんですが、イス+脚 ジャケ作品はこの2枚だけです。しかし脚ジャケ作品となると、他に3枚あります。脚ジャケの定義は明確では無いので何ですが、その内の1枚「Glad Rag Doll」は、「今日の1枚」で掲載済(2018/3/8)です。他の「Christmas Songs」と「Turn Up the Quiet」は、機会を見て取り上げます。
高級感漂うソファーにクラールさんが腰をかけている本作は、2002年3月17日に「今日の1枚」で取り上げました。その際にはマレーシアでの生活についてコメントしていました。
今でも私が使っているアンプのマークレヴィンソン308と、スピーカーのB&W804は、丁度その時期にマレーシアで購入しました。オーディオ店で機器を選ぶ楽しい作業の時に使ったCDの一つが、本作品でした。クラールさんの声の張り方と消え方が、機器の違いでどう変わるのかを、楽しみ悩んでおりました。
いろんな事が懐かしく感じる1枚です。17年前にはタイトル曲と「S'Wonderful」、そして「dancing in the dark」について感想を書きました。今回のつまみ食いでは、ジャケに似合う1曲を探してみます。
さてマデリンさんの「イス ジャケ」作品。
語り口と申しますか、歌い回しがフォークの人なのです。名前を覚えていない1960年代の女性フォーク歌手が何人か、私の頭に浮かびました。そんな意味は、ディラン作の「You're Gonna Make Me Lonesome When You Go」で強く感じました。
口にした時にはほんわかした味わいですが、後に幾つもの味が出てくる、そんな感じの歌です。この奥深さに聴き入り、マデリンさんが選んだ各曲の個性に心が入っていきます。
聴きごたえある作品です。